腹腔内組立式タバコ縫合器
腹腔鏡下手術では,腹に開けた直径5〜10mm程度の切開穴(ポート)から,
棒状の手術機器を挿入し手術を行います.
患者への負担軽減という点では優れていますが小さな穴から入る手術機器しか利用できません.
そこで,器械を一旦小さい部品に分解してポートから挿入し,腹腔内で再び組立てるという斬新な方法を提案しています.
タバコ縫合は従来の開腹手術で食道,胃,腸等の筒状の臓器の吻合に用いられる器具ですが,
先端がT型形状をしており,腹腔鏡下手術では利用できません.

従来のタバコ縫合器
そこでのように,二つの鉗子を用いて腹腔内で連結し,組み立てることを提案しました.
本機器の改良型が医療器具メーカーによって再設計され,実際の手術でも使用されています.

<動画>タバコ縫合器の着脱(0.8MB)
自走式大腸内視鏡
大腸内視鏡は先端が能動的に曲げられるだけのビニールホース状のものを後ろから押し込んで入れていきます.
そのため大腸が急に曲がる場所を通過させるのにテクニックが必要となります.
ソフトロボットを利用した本装置は,手放しでも90度以上に曲がった屈曲部を自然に通過することができます.

<動画>螺旋捻転装置による大腸屈曲部の通過(1.9MB)
LED CTを用いた細胞培養槽内CO2濃度3次元観察装置
細胞培養実験は溶媒中の二酸化炭素濃度の影響を大きく受けます.
一方で細胞自体が呼吸をするため溶媒中に濃度分布が生じます.
シャーレを用いた実験ではフェノールレッドを用いてその色で分布を観察できますが,
表面から観察するだけのため,内部の立体的な濃度分布がわかりません.
本研究では,LED光を溶媒に透過させ反対側で観察する装置を作り,
溶媒の周囲を回転させて観察することでCTスキャンの原理で
濃度分布の断面を計測することができます.

細胞加圧装置
胎児は圧力下の元低酸素の状態で細胞分裂して育つそうです.
細胞加圧装置はそれをヒントに培養中の細胞に圧力を加えたらより強く育つのではないかと開発した装置で,
単に一定の圧力を加え続けるだけでなく,空気圧を周期的に加減圧することができます.
この装置内で育てた細胞単体はより早くその足場を広げ,細胞シートは互いに強固につながることで破断強度が強くなります.
大阪大学医学部や横浜市立大学医学部等へ,それぞれの実験環境に合わせて調整した装置の提供を行っています.

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